今回から何回かに分けて、基礎的な音楽理論について解説していきます。
僕が若い頃に、音楽学校に年間何十万円も学費を払って学んだエッセンスを、できるだけわかりやすく無料で公開するので、どうぞお見逃しなく。
最初にとりあげるのは、「音程(interval)」です。
これはとても重要で、音程が理解できないと、コードもスケールも理解できません。
逆に言うと、「音楽理論を理解する」ということは、「音程を理解すること」と言っても良いと思っています。
ここはしっかり時間をかけて、完全に理解しましょう。
音程の数え方
いきなり、ここがポイント。
音程は、同音=ユニゾン(Unis)を1度と数え、そこから短2度(m2)・長2度(M2)・短3度(m3)・長3度(M3)・完全4度(P4)・増4度(aug4)または減5度(dim5)・完全5度(P5)・短6度(m6)・長6度(M6)・短7度(m7)・長7度(M7)・8度=オクターブ(Oct)といった具合に開いていきます。
長2度(M2)は「全音」、短2度(m2)は「半音」という呼び方も一般的です。
そして、「増4度(aug4)または減5度(dim5)」のところだけ2種類書いてありますが、これは、どちらもよく使われます。
また、これは全音3つ分の音程なので、3全音(Tritone)という呼び方もあります。
後ほど詳しく解説しますが、この音程はコード進行でとても重要な役割を持っているので、頭の片隅に入れておいてください。
具体的に、譜面上で見てみましょう。
Cの音を基準にすると、このようになります。
Aの音を基準にすると、こんな感じです。
E♭の音が基準だと、こうなります。
音程は、オクターブ内の、どの組み合わせでも即答できるように、しっかり覚えてください。
そして、譜面上で把握するだけでなく、実際に楽器で音を出して、響きを確認してください。
「tonedear.com」のサイトでは、ゲーム感覚で各音程を体感できるので、おすすめです。
音程の分類
音程は、その度数によって、それぞれサウンドの特徴を持っています。
分類の仕方は、次のようになります。
これも、とても重要。
- 完全協和音程:ユニゾン(Unis)・完全4度(P4)・完全5度(P5)・オクターブ(Oct)
- 不完全協和音程:短3度(m3)・長3度(M3)・短6度(m6)・長6度(M6)
- 不協和音程:短2度(m2)・長2度(M2)・増4度(aug4)または減5度(dim5)・短7度(m7)・長7度(M7)
完全協和音程は、不完全協和音程よりもさらに協和性が高い音程です。
しかし、いくら協和音程でも、ユニゾン(Unis)とオクターブ(Oct)以外は、C2(ヘ音記号の下にあるC)周辺より低い音だと濁って聴こえます。
これを、「ローインターバルリミット」と言います。
実際の作曲やアレンジの際には、気をつけてください。
不協和音程の中でも、特に「増4度(aug4)または減5度(dim5)=3全音(Tritone)」は不安定な響きを持っています。
この不安定な音程が協和音程に解決することによって、終止感が生まれます。
この終止感=ケーデンス(Cadence)がコード進行の推進力となるため、Tritoneの役割はとても重要です。
コード進行については、後日改めて詳しく解説します。
具体的な例を示すと、G7のFとBがTritoneを形成し、次のCM7のEとCに解決した時に、一段落した印象を受けますよね?
この「ホッとした感じ」が終止感です。
また、今では当たり前のように使われているメジャーセブンスやセブンスのコードですが、実は7度の音程は不協和度が高いので、バロックの時代などにはほとんど使われていませんでした。
20世紀に入りジャズが普及して、「不協和音程はかっこいい」という認識が定着することによって、ようやく市民権を得た、ということでしょうか。
現代の音楽は、不協和音程と協和音程による「緊張と緩和」でできていることが多いので、どちらもとても重要です。
何かの曲を聴く場合には、そのバランスに注目してみると面白いでしょう。
まとめ
「音程(interval)」の重要性を理解していただけたでしょうか?
- 音程の数え方
- 音程の響き
- 協和音程と不協和音程
の3つをしっかり理解できれば、より深く音楽を楽しむことができるでしょう。
次回もお楽しみに。