前回、作曲の準備段階とも言えるイメージづくりについて解説しました。
今回は、そのイメージをどうやって音楽で表現するのか、というプロセスに入ります。(前回の記事をまだ読んでいない方は、こちらからどうぞ。)
具体的に言うと、どのようにアイデアを導き出して、どのように音符に置き換えていくのか、を考えながら作業を進めていくということです。
前回にも少し触れましたが、「決めやすいところから決めていく」ことが重要なポイントとなります。
「なんだそんなことか」と思うかもしれませんが、これが本当に大事なんです。
いきなり素晴らしいメロディーを、最初から最後まで一気に思いつくことは、不可能に近いといって良いでしょう。
断片的なモチーフから、いかに芋づる式に新しいアイデアを導き出すかが大切で、そのためのテクニックなどを紹介していきたいと思います。
基本パターンをつくる
基本パターンのつくり方を、普段やっているスタンダードな方法と、今回の曲で実践した方法に分けて解説します。
1)通常の基本パターンのつくり方
僕が作曲の作業に入る時には、リズムから決めていくことが非常に多いです。
テンポとリズムパターンが決まれば、その曲の大まかな方向性がはっきりします。
他に全くアイデアが湧かなくても、テンポは決めやすいと思います。
この時点で具体的なモチーフが少しでも浮かんでいる場合には、それもDAWに打ち込んでしまいます。
次に、前回解説したイメージを表現するために、どのような音色がメインになるかを考えます。
シンセの場合は、大雑把なカテゴリーから入って、その中のプリセットプログラムを選ぶようにすると良いでしょう。
細かい音色エディットなどは、まだまだ後の話です。
この、音色を先に決めるというプロセスは、アイデアを引き出すうえでとても大事だと考えています。
DAWにトラックをつくって、シークエンスをループさせながら何かしら音を出していると、ただじっと座って考えているよりも、はるかにフレーズが浮かびやすくなります。
無心になるのが、ひとつのコツかもしれません。
そして、何か浮かんだらすかさずDAWに打ち込んでいきましょう。
ある程度メインのパートの形が見えてきたら、その次にどんな音色を足せば良いかを考えます。
楽器の順番にこだわらず、「必要な音」を探しましょう。
そして、同様の手順でフレーズを思いついたところからはめ込んでいく感じです。
ここでのフレーズはあくまでも仮で、完璧を目指す必要はありません。
どうしても良いアイデアが浮かばない場合は、いくつか選択肢を用意した中からベターなものに一旦仮決めして、先に進むこともよくあります。
作業を進めていくうちに、もっと良いフレーズが浮かぶことは頻繁にあるので、その時に差し替えれば良いのです。
このプロセスを何度か繰り返せば、基本パターンの原型が出来上がります。
この基本パターンは、曲のどの部分で使われるかは、最初の段階で決める必要はありませんが、とにかくこれをベースに発展させて、作業を進めていきます。
2)今回実践した基本パターンのつくり方
今回は、先に
というフレーズを思いついていたので、テンポだけ先に決めてDAWに打ち込みました。
BPM=84、音色はPadPianoです。
このフレーズは、何度も繰り返して使うことを最初から想定しています。
まず、KickとHHとBass、それにPadを加えたシンプルな8小節のパターンを2回繰り返して曲の冒頭部分としました。
さらに、Drumの音数を増やして、木管楽器のようなシンセのリフを足した8小節パターンを2回繰り返して続けました。
以上の手順で、最初のPadPianoのモチーフから、割とすんなり基本パターンを作ることができました。
ここまでで、時間にして約1分30秒です。
なんとなく今回の曲の骨格が、見えてきたのではないでしょうか?
ここまでできると、気分も乗ってきて、作業のスピードが一気に加速します。
まとめ
基本パターンのつくりかたについて、解説しました。
- まずテンポとリズムパターンを決めてしまう
- 音色を先に決めてからフレーズを考える
と言うのが、アイデアを導き出すうえで重要な流れとなります。
理論的なことには全く触れていませんが、理論的なことを考えてつくっていないので、仕方がありません。
とりあえずDAWに打ち込んでみて、しっくりいくか、違和感を感じるか、が判断のポイントとなります。
「この方法が絶対に正しい」などと言うつもりは少しも無いのですが、一つの方法として、「こんなやり方もあるんだな」と思って頂けたら幸いです。
次回は、展開のパターンと構成についてお話します。
それで、ほぼ「1曲完成!」に近い所までもっていけると思います。
次回もお楽しみに。