前々回に作曲の元になるイメージづくりの方法について解説し、前回は、そのイメージから基本パターンをつくってみました。
今回は基本パターンを展開して、さらに全体の構成も考えていきたいと思います。
これでかなり完成に近づくでしょう。
「決めやすいところから決めていく」という方針は今回も変わりません。
虫食い状態でも全然構わないので、とにかく思いついたところからDAWに打ち込んでいき、残った部分は作業を進めながら埋めていく感じです。
それでは早速、展開のパターンをつくってみましょう。
展開パターンをつくる
展開パターンの基本的な考え方と、実際の手順について解説します。
1)展開パターンの考え方
展開パターンをつくる際には、大雑把に言うと、
- 基本パターンを継承する
- 基本パターンの雰囲気を変える
という選択肢に分かれます。
さらに、「基本パターンを継承する」場合でも、どれくらい継承するのか、という程度の問題を考えなければいけません(「雰囲気を変える」場合も同様です)。
この辺のさじ加減が、ちょっと難しいところですね。
方針が決まったら、基本パターンと同じように、音色を先に決めてからフレーズをつくっていきます。
展開のパターンは、その曲によって必要な数が違いますが、とりあえず1〜2個つくってみて、構成を考えながら追加するようにすると良いでしょう。
2)今回の曲での展開の手法
今回の曲では、ちょっとした場面の転換と浮遊感のある方向にもっていきたかったので、Padの音色を組み合わせてフレーズを組み立てることにしました。
基本パターンを何度もリピートして使うことを想定しているので、展開パターンというよりも、ブリッジに近いイメージかもしれません。
Pad以外の音色はBassのみというシンプルなものです。
後でGuitarを加える際に、ある程度自由に動けるだけの余地を残しています。
このふわっとしたニュアンスが、いい感じです。
構成を考える
ここまでで、およそ2分20秒と、尺的には十分なので、これ以上展開パターンを増やす必要は、ほとんどないと考えました。
それよりも、「基本パターンに変化をつけながらリピートして発展させる」、という方向性の方がうまくいくような気がします。
そこで、「ダイナミクスを大きくつけて繰り返すことによって、この曲のクライマックスのパートとする」プランを立てました。
最初の8小節のピアニシモのパートでストリングスのカウンターメロディーを加え、続く8小節で音量を上げつつ音数も増やしています。
ストリングスアレンジは、結構好きです。
さらにフォルテシモの部分でBrassとBellを足して、音に厚みを加えました。
この辺は、基本パターンに素直に音を足していく感じで、特別なことは何もしていません。
なかなか良い盛り上がりになったのではないでしょうか。
しっかりしたクライマックス感を、演出できたと思います。
ここまでで、4分近い尺となったので、後はうまくまとめることができれば、ほぼ完成に近づきます。
ちょっとひねった感じのコード進行のGuitar Soloのパートを16小節つくり、Introとほぼ同じOutroを8小節、そして思いっきり音数を抜いた8小節で締めくくりました。
1曲通して聴いてみると、こんな感じになります。
ミックスなどの調整は未処理となっていますので、そのへんはご容赦ください。
あぁ、懐かしい思い出が蘇ってきそうです。(全く個人的な話ですみません)
この雰囲気が少しでも伝われば、作曲した甲斐があるというものです。
まとめ
展開のパターンをつくり、構成を考えて、完成形が見えるところまでこぎつけました。
今回は、メインのモチーフの繰り返しだけでほぼ1曲できてしまった感じです。
理論的に考えなければならないような場面もほとんどなく、比較的安産だったと思います。
このようなつくりかたは、ある程度経験が必要かもしれませんが、慣れると自由度が高い方法なので、興味がある方は、試しにトライしてみると良いでしょう。
作曲の経験が浅い方は、最初のうちはクオリティーよりもできるだけ数多く作曲することを目標にした方が良いかもしれません。
僕は、50曲ぐらいつくった時に、なんとなくコツみたいなものがわかってきました。
この後、Guitar録音→各部修正→ミックス→マスタリングという作業を経て完成となるのですが、記事としてはここまでとさせていただきます。
完成したら、どこかにアップすると思うので、その時はお知らせします。
次回もお楽しみに。