今回から、実際に曲をつくりながら、その過程を解説してみたいと思います。
作曲する上で一番大変なことは、「いかにしてアイデアを出すか」ということではないでしょうか?
もちろん、出てきたアイデアを形にする工程でも、それはそれで楽しくも苦しい道のりが待っているのですが、元々のアイデアがないと話が全く進みません。
「良いモチーフが浮かぶまで、ひたすら目をつぶってじっと待つ」というのでは、いつになったら曲が仕上がるのか全く読めないので、締め切りがある場合などには対応できなくなってしまいます。
そこで、「アイデアの出し方」を中心に解説しながら、曲を作っていきます。
最初にネタバラシしてしまうと、アイデアを出すコツは、
- イメージをしっかりつくる
- 決めやすいところから決めていく
です。
今回は、準備段階のイメージづくりについて解説します。
イメージをつくる
1)イメージづくりの概要
曲を作るにあたって大事なことは、まず「どんな曲をつくりたいのか」を考えることです。
「表現したいもの」がよくわからない状態のままでは、そもそも作曲なんてする意味がありません。
イメージをしっかりつくることが、最初のステップとなります。
ここがしっかりできていないと、後々大変です。
しかし、イメージをつくるといっても、具体的で詳細な物である必要はないと僕は思っています。
「抽象的なイメージを抽象的なまま表現できるのが音楽の良さ」だというのが持論なので。
僕がよく思い浮かべるのは、
- 季節でいったらいつ?
- 時間帯は何時位?
- ロケーションはどんな感じ?
- 静か?賑やか?何が聴こえる?
- 色でいったら何色?
- どんな匂い?
- 最も強いインパクトを感じるものは何?
などです。
イメージ自体はぼんやりとしたもので構わないのですが、「それに対して自分がどう感じるか」をしっかりと意識することは、とても重要です。
その感情の動きが曲の根幹になるといっても良いでしょう。
決して難しく考える必要はないので、思いついた事をメモするなどして、方向性を固めていきましょう。
2)実際のイメージづくりのプロセス
今回曲をつくるにあたって、テーマを「中学3年生の夏」に決めました。
全く個人的な話ですが、ほんの2週間くらいの短い期間に不思議な偶然が重なって、今でも深く印象に残る思い出となっています。
いま振り返ってみても、本当に、ちょっとした奇跡のような体験でした。
当時は受験生で、色々と大変だったにも関わらず、そんなことを忘れてしまうほど楽しい毎日を過ごせました。
その時に出会った人たちの声や表情、街の喧騒、華やかな雰囲気は、自分の記憶の中で決して色褪せることがありません。
「夏だったけどそれほど暑くはなかった」とか、
「あの店でTシャツを買った」とか、
「路上でクレープを買って食べた」とか、
「話題になっていた映画を見た」など、
次から次に色々なことが思い出されます。
そんな懐かしい思い出を題材にして、1曲作ってみようと思います。
まとめ
曲をつくるにあたっての準備段階とも言える「イメージづくり」について解説しました。
ぼんやりとしたイメージで構わないので、それに対して自分の感情がどう動くかを意識することが大切だということを、もう一度確認してください。
何事も準備は大切で、作曲でも同様です。
イメージづくりに没入すると感覚が研ぎ澄まされ、ゾーンに入る感覚が得られるので、そういう意味でも本腰を入れて取り組むことをお勧めします。
次回は、今回作ったイメージを実際の曲にしていきます。
音楽で表現するための具体的な方法や、アイデアの導き出し方などのヒントを提示できると思うので、乞うご期待。
次回もお楽しみに。