世の中には数多くのギター教則本が出回っていて、練習の材料には事欠きません。
しかしながらその内容は、年々丁寧になっていると同時に細分化されているので、自分の目的に合ったものを上手に選択して、さらに継続してしっかり身につけないと、効果が出にくくなっています。
僕も普段から教則本を利用して練習のプログラムをつくっていて、「どうすれば効果的に上達できるか」と、いつも試行錯誤しています。
今回は、人気が高く、しかしながら挫折率もかなり高いのではないかと思われる「無窮動トレーニング」を題材にして、自分なりの教則本攻略法を紹介します。
教則本は本当に必要なのか?
現在では、YouTubeなどのレッスン動画もたくさんあって、中には「教則本なんていらない」と考える方もいるようです。
でも、僕は「こんなに内容が詰まったものを使わないのはもったいない」と思っています。
- CDやDVDは当たり前のように付属していて、しかも譜面が見やすい
- 気が付いたことを書き込める
- 時間が経って再チャレンジしやすい
と、紙でまとまっているメリットは、とても大きいからです。
さらにもっと言うと、教則本以外でも「あらゆるジャンルの書籍代はケチるべきではない」と、僕は考えています(中古本で節約するのは有りだと思いますが)。
その理由は以下の通りです。
- 何かを学ぼうとした時の、最初の選択肢として最適
- 他のレッスンやセミナーと比べてはるかに割安なので、数冊に1冊当たりがあれば十分元が取れる
- 人生が変わるほどインパクトがあるものに出会える可能性がある
それでも手当たり次第に買ってしまうとキリがないので、「本当に自分に必要なものは何か」としっかり考えて、賢く利用するのが正解でしょう。
本は、人生の質を高めるために、絶対に必要です。
「無窮動トレーニング」とは何か?
「無窮動トレーニング」とは、ジャズのアドリブフレーズを習得するために、「休まずに弾き続ける」というコンセプトで書かれた教則本シリーズです。
約120ページの全てが、ジャズのフレーズで埋め尽くされています。
これはとんでもなく内容が濃いということで、かなり話題にもなったし、人気の高い本だと思いますが、挫折する人も多いのではないのでしょうか?
解説もほとんどなく、ひたすら音符が並んでいるので、ページを開いた瞬間に気持ちが折れる、という光景が容易に想像できます。
でも、しっかり取り組めば、それだけ大きな成果が得られるのです。
僕は、最初に出版された、スタンダードなスタイルの『ギター無窮動トレーニング』と、よりコンテンポラリーなアプローチの『ギター無窮動トレーニング2』を使っています。
個人的には、『ギター無窮動トレーニング2』の方が好みですが、どちらもおすすめです。
もし、どちらを買おうか迷っている人がいたら、「両方買っとけ」とアドバイスするでしょう。
その他にも、ビギナーのための『ギター無窮動「基礎」トレーニング』や、ギター以外の楽器向けの譜面も用意されています。
チャレンジする価値のある教則本です。
「無窮動トレーニング」攻略法
このように絶大な効果を期待できる無窮動トレーニングですが、継続して練習しないと意味がありません。
できるだけ挫折しないで続けられるように、自分なりに練習法を工夫してみたので、良かったら、参考にしてください。
1)心構えは「門前の小僧習わぬ経を読む」
これだけ大量のフレーズをストックとして覚えようと必死になると、その時点で精神的にプレッシャーがかかって、練習が億劫になります。
とにかく気楽に、いろいろなフレーズをできるだけたくさん弾いて、「ジャズのフレーズはだいたいこんな感じなんだな」という感覚を身体に染み込ませることを目標にした方が良いです。
ジャズっぽいフレーズが、自分の内側から自然に湧き出てくる日を楽しみにして、のんびり取り組みましょう。
2)フレーズは8小節ずつ区切る
「延々と弾き続ける」という本書のコンセプトから外れてしまうかもしれませんが、僕は8小節ずつ(4小節や、12小節の場合もあります)区切って、ループして練習するようにしています。
フレーズを自分の中に深く浸透させるためには、その方が効果があると考えたからです。
つながりが悪くなってしまう場合には、4分休符か2分休符をはさめば問題ありません。
8小節のフレーズを、最低1週間位は弾いて、じっくり吸収していきます。
3)テンポはゆっくり
模範演奏のCDを聴くと、結構速いテンポで弾かれています。
これを目標にしてしまうと、ハードルがかなり高くなってしまうので、僕はゆっくり弾くようにしています。
この本に限らず、全ての教則本を使うときに、僕はかなりテンポを落として練習します。
上達するうえで大切なのは、「難しいことができるよりも、簡単なフレーズで演奏の質を上げること」だと思っているからです。
落ち着いて、のんびりとマイペースで、でも強弱や音価といったニュアンスには気を配って丁寧に弾いていきましょう。
これは大事なポイントです。
4)各項目1ページずつ
この本を、最初から順番にクリアーしていこうとすると、とんでもなく時間がかかってしまいます。
順調に進めていっても、恐らく最低でも数年はかかるでしょう。
そこで、各項目1ページずつ抜粋してやっていくのがおすすめです。
『ギター無窮動トレーニング』を例にすると、まず「ウォーミング・アップ・エクササイズ」は全部終わらせた後、
- 1625 in C その1
- 1625 in C その2
- 2536(逆循環) in C
- 44-36251 in C
- メジャー・ターンアラウンド in C
- マイナー・ターンアラウンド in Cm
- ブルース in F
- ブルース in Cm
- リズム・チェンジ
- 定番ビバップ進行
- 定番スタンダード進行
を、それぞれ1ページずつやって、一通り終わったら2ページ目、それが終わったら3ページ目以降、と進めていきます。
この各項目は、僕が自分にとって重要だと思ったものを抜粋しているので、あくまでも一例だと思ってください。
人それぞれ、重点の置き方を工夫して、選択すると良いでしょう。
そして、終わったページには印をつけておくと、わかりやすいし、なんとなく達成感も得られます。
このやり方だと、比較的早い段階で本書の内容を網羅することができるので、モチベーションをキープしやすいですし、どんなに時間がかかってもそれほど気になりません。
また、『ギター無窮動トレーニング』を半年程やって、次に『ギター無窮動トレーニング2』に進んで半年程練習して、また『ギター無窮動トレーニング』に戻って…ということも可能です。
一時的に中断してしまった場合でも、気が向いたときに再開するためのハードルを低くする効果もあるでしょう。
それに、仮に全部のフレーズをクリアーしなかったとしても、この本のエッセンスは身につけることができると思います。
とにかく続けることを目標にしています。
まとめ
「無窮動トレーニング」を、いかに効果的に活用するかについて、自分なりに考えてまとめてみました。
とにかくお宝フレーズが満載で、継続して練習していれば、必ず自分の血となり肉となることを確信しています。
僕は音楽学校に通った経験もあり、そこでいろいろな練習方法を教えてもらったりもしたのですが、やはり自分にフィットするように工夫して練習することの大切さを、改めて実感して毎日を過ごしています。
少しでも参考にして頂けたら幸いです。
次回もお楽しみに。