「教則本を使い倒そうシリーズ」の第2弾は、前回の無窮動編に続いて、名取穣一郎さんの著書「ジャズ・ギター・スケール」を採り上げます。
前にも書いたのですが、僕はスケールを覚えるのが苦手で、アドリブを弾く時もスケールについてはほとんど考えていません。(僕のアドリブの考え方は、こちらから3回に渡って詳しく解説しています)
それでも、この本は楽しく続けることができているので、皆さんにもお勧めできるのではないか?と思いました。
自分なりの取り組み方を解説していきますので、少しでも参考になれば幸いです。
「ジャズ・ギター・スケール」の概要
まず、僕がこの本を続けられている大きな理由は、
「スケールをポジションや運指で覚えるのではなく、サウンドで理解する」
というコンセプトによるものです。
それだけでも心理的なプレッシャーが軽減されて、前向きに取り組むことができます。
コンテンツは、
- メジャーコードで使えるスケール3種
- マイナーコードで使えるスケール5種
- マイナー7(♭5)コードで使えるスケール2種
- ナチュラル系ドミナントコードで使えるスケール4種
- オルタード系ドミナントコードで使えるスケール5種
- オーグメントコードで使えるスケール2種
- ディミニッシュコードで使えるスケール2種
の、計23種のスケールが掲載されており、それぞれのスケールに対し、3つの練習フレーズが用意されています。
その特徴は、全てのフレーズは8分音符で始まり、3連から16分音符と進んでいくことです。(最後に3連に戻るパターンもあり)
これは、実際のアドリブソロを弾く際に、徐々に盛り上げていく構成が自然と身につくように考えられたもので、細かい配慮が嬉しいですね。
いわゆる、「スケールの羅列」を防ぐ効果があると思われます。
スケール練習の進め方
3つの練習フレーズに対し、それぞれどのようにアプローチすれば良いかを考えてみたいと思います。
1)スケールのサウンド
これは、まさにそのスケールのサウンドを覚えるためのフレーズとなっているので、音使いもシンプルです。
最初の8分音符では、まずストレートにスケールを弾いて、次に3連では3度や4度の跳躍を使用したフレーズ、そして16分音符ではスケール的な動きと跳躍を組み合わせたフレーズ、という流れになっています。
ここでしっかりとそのスケールのサウンドを理解しておくと、後の練習が楽になります。
焦らずに、確実に基礎を固めます。
2)スケールのフレーズ
フレーズの雰囲気もやや実践的となり、1小節のフレーズの後に1小節の休符、2小節のフレーズの後に2小節の休符、という構成になっています。
休符のところでアドリブを弾くように設定されているのですが、難しく考えずに「何音か足してみる」という感覚で良いでしょう。
僕はこのパートが非常に重要だと考えていて、時間を多く割くようにしています。
慣れてくると、何も考えなくても自然にそのスケールの音を選択するようになりますし、それ以外の音を弾いてしまった場合にはとても違和感を感じるので、「スケールをサウンドで理解する」ことが身についているのではないか?と、感じます。
実践的な効果が期待できる練習です。
3)スケールのアドリブ
実際のアドリブで使われるような「使用例」が掲載されています。
今までに出てきたフレーズもたくさん使われているので、とっつきやすい印象です。
ただし、符割が複雑になってくるので、音符の並びだけでなく、休符の入れ方などにも注意してみると良いでしょう。
また、運指がちょっと難しいところもあるので、確認しながら弾くと良いと思います。
気に入ったフレーズは、自分のストックに入れてしまいましょう。
まとめ
ひたすらスケールを覚えるという、地味な内容の本書ですが、僕は不思議と退屈せずに取り組めています。
「聴いて覚える」というのが前提なので、そんなに気張る必要がない、というのが大きな理由でしょう。
スケールの種類も十分すぎるほど収められていて、中には初めてみるような珍しいものもあるので、新鮮な気分になれます。
僕のように、「スケールは苦手だな」と思っている人でも、一度試してみてはいかがでしょうか?
次回もお楽しみに。