音楽学校では教えない!?難しいスケール不要の簡単アドリブ術【スケールユニット編】

Guitar演奏

前回までの、「メロディーフェイク編」「コード対応編」に続いて、ちょっとしたつなぎのフレーズにとても便利に使える「スケールユニット」を紹介します。

「スケールユニット」を使うことによって、

  • リアルタイムの対応力の向上
  • ブロックポジションからの解放
  • スケールの羅列からの脱却
  • アウトフレーズも簡単

といったメリットがあります。

  • コードトーンを理解している
  • 指板上の音を把握している

の2点がクリアーされていれば、誰でも簡単に使うことができるので、ぜひ最後まで読んで、試してみてください。

スケールユニットとは何か?

通常のスケールは、7音で構成されていて、その種類はとても多いです。

ところが、音を3音に限定すると、ほぼ以下の3パターンに集約されます。

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3 notes per string で弾いていると、何となく気づいてしまいますよね。

WT(ホールトーン)ユニット

Dor(ドリアン)ユニット

Phr(フリジアン)ユニット

これに、ちょっと特殊な形の、

Hm(ハーモニックマイナー)ユニット

Hmユニットは、上昇と下降の両方を使うためには4音の方が便利なので、4音のユニットにしています

この4つを組み合わせると、全てのスケールを網羅することができます。

そして、「この音列をうまく使ってアドリブを弾けば、何とかなるんじゃないか?」と思い、僕はこれを「スケールユニット」と名付けました。

スケールユニットを使う手順

1)アンカーノートを見つける

まず、コードトーンその他のトライアドの構成音ターゲットノート、あるいは長く伸びているメロディー音といった、拠り所となる音を探します。

この、拠り所となる音のことを、「アンカーノート」と呼ぶことにします。

アンカーノートを見つけたら、スケールユニットの構成音のどれかがアンカーノート上に乗るようにセットします。

これで準備完了です。

アンカーノートさえ見つければ、そこを起点にフレーズをつくれるので、ブロックポジションから解放されます。

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ポジションを考えずに済むと、気分的にとても楽になります。

2)フラグメントをつくる

フラグメントとは、直訳すれば「断片」という意味ですが、ここでは「4音で構成されるジャズの慣用句的なフレーズ」を指します。

ジャズでは、8分音符が基本となっているので、4音で2拍分です。

とても区切りが良いので、フレーズの最小単位として重宝されています。

もちろん、実際のフレーズの中では、音を伸ばしたり、休符を入れたりして、2音〜3音になっても全然構わないのですが、最初の段階では4音で考えておくと、応用させやすいです。

スケールユニットを使ったフラグメントのつくり方は簡単で、構成音に、低い方から1、2、3(Hmユニットは4まで)と番号を振って、1323、2231、3212などと組み合わせを考えていけば良いだけです。

フラグメントを形成すると、ひとまとまりのフレーズという印象が強くなるので、スケールの羅列から脱却できます。

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このフラグメントの効果だけでも、スケールユニットを使う価値はあるでしょう。

3)フラグメントをアンカーノートに乗せる

それでは、実際にフレーズをつくってみましょう。

コードがCM7で、アンカーノートをEとします。

Dorユニットでフレーズは1323です。

アンカーノート上にいずれかの指を置いた状態で、フラグメントを弾いていきます。

1の音をアンカーノートに乗せると、

となり、♯11が入ったLydian風のフレーズになります。

2の音をアンカーノートに乗せた場合は、

で、これは普通のCメジャースケールですね。

3の音だと、

というオルタード7thのようなサウンドです。

どれが正解かなどとは考えずに、状況に応じて、自分が気に入ったものを使えば良いでしょう。

また、ここでもアプローチノートを加えて、

CM7Dorユニット1231 on アンカーノート=E

CM7Dorユニット 3123 on アンカーノート=E

といったフレージングも可能です。

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アプローチノートは、しつこいぐらいに使い倒します。基本的な解説は、「メロディーフェイク編」を参照してください。

もう一つ、例を挙げてみます。

コードをCm7アンカーノートはG、フレーズはDorユニット3123だとどうなるでしょうか?

1の音がアンカーノートだと、

♮6を含んだDorianのフレーズです。

2の音を乗せると、

♭6の、AeolianやPhrygianといった雰囲気です。

3の音の場合がちょっと問題で、

と、マイナーコードに♮3が入ってしまいます。

音楽理論的には、これは完全にアウトなのですが、僕はこの可能性をできるだけ否定しないようにしています。

フラグメントのフレーズは音の流れがスムーズで、なおかつ音型としてのまとまり感が強いので、コードサウンドからの逸脱に対して許容度が大きい、というのが個人的な見解です。

もしサウンドが気に入らなければ、却下すれば良いだけの話なので、とりあえず試してみることにしています。

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音楽では、試行錯誤がとても大切です。

スケールユニットを上手に使うコツ

1)つなぎのフレーズで威力を発揮

スケールユニットは、連結して長いフレーズをつくることも可能ですが、最も威力を発揮するのは、ちょっとしたつなぎのフレーズで使用する場合だと考えています。

基本的なパターンとして、フレーズをつくってみると、以下のようになります。

CM7Phrユニット33122 on アンカーノート=G

Cm7WTユニット12321 on アンカーノート=G

このように、アンカーノート2拍+フラグメントという形で練習すると、スケールユニットの感覚がつかみやすいでしょう。

リアルタイムでの対応力も、段違いに向上するに違いありません。

慣れてきたら、これまでに解説した、メロディーフェイクやターゲットノート、トライアドと組み合わせて、自由にフレーズを考えてみてください。

例えば、ペンタトニックオンリーのフレーズにちょっと加えるだけでも、ずいぶん雰囲気が違ったものになると思いますよ。

CM7Dorユニット32123 on アンカーノート=G

CM7Phrユニット2131 on アンカーノート=G

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実際のフレーズでは、必ずしもフラグメントの4音を全て弾く必要はありません。

2)アウト感を楽しむ

前述したように、スケールユニットを使ってフラグメントを形成した場合、コードから外れた音が含まれるケースが頻繁に起こります。

CM7WTユニット12311 on アンカーノート=B

Cm7Hmユニット12432 on アンカーノート=G

でも、これを排除せずに、楽しんでしまった方が、アドリブの幅が確実に広がると思います。

もし、どうしても収拾がつかなくなった場合には、アンカーノートに戻れば、いつでもインサイドに落ち着くことができます。

つまり、保険がかかった状態なので、思いっきりアウト感を楽しむことができます。

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ただし、周りに怖い先輩などがいるときには、各自、自己責任で対応してください。

まとめ

スケールユニットという3音の音列を利用したアドリブの方法について、解説しました。

  • アンカーノートを見つける
  • フラグメントをつくる
  • フラグメントをアンカーノートに乗せる

という簡単なステップで、

  • リアルタイムの対応力の向上
  • ブロックポジションからの解放
  • スケールの羅列からの脱却
  • アウトフレーズも簡単

と、大きなメリットが得られます。

これまで3回に渡ってアドリブの手法を解説してきましたが、どれも簡単で、アドリブに対するハードルを、かなり下げることができたのではないでしょうか?

でも、心がけて欲しいのは、簡単に使えるからこそ感覚を研ぎ澄ませて、演奏に集中するべきだということです。

もちろん、既存の方法を否定するものではありませんし、日々の、フレーズのストックを増やす努力も必要だと考えています。

ただ、初心者にとってアドリブをとっつきやすいものにするために、また、中級者以上にとってはちょい足しして世界を広げるために、選択肢のひとつに加えても損はないと思います。

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次回もお楽しみに。