今回から何回かに分けて、アドリブについて研究したことをまとめていきます。
僕はスケールを覚えるのが苦手で、「なんとかスケールに頼らずにアドリブを弾く方法はないか」と、ずっと模索してきました。
そして、実用的な方法をいくつか確立できたので、ぜひ紹介したいと、記事にすることにしました。
初心者の方にも理解しやすい内容だと思いますし、中級者以上の方が採り入れても演奏の幅が広がるものと、確信しています。
最初のテーマは「メロディーフェイク」です。
メロディーフェイクのススメ
「メロディーフェイク」というのは、「既存のメロディーを崩して弾く」ということです。
メロディーフェイクが、なぜアドリブ演奏をするうえで効果的かというと、
- メロディー感覚を養うことができる
- 原曲のニュアンスを活かしたソロが弾ける
- オリジナリティーが出しやすい
- 難しい音楽理論は要らない
という4点が主な理由です。
ずいぶん昔の話ですが、ある先輩とお酒を飲みながら話をしている時に、メロディーフェイクの重要性に気がつきました。
そもそもアドリブというのは、「即興メロディーづくり」なので、メロディー感覚はとても大事だと考えています。
メロディー感覚を養うためには、メロディーフェイクはうってつけなのです。
また、原曲のニュアンスを残したフレーズになるので、聴く人にとっても受け入れやすい演奏になります。
さらに、コードに対応した定型のフレーズを弾くわけではないので、演奏者の個性が出やすくなり、そのために難しい音楽理論は必要ありません。
実用面でも、ジャズのスタンダード曲などにはそのまま応用できるので、とても効果的な手法です。
あと、これは個人的な意見ですが、「やっていて、とても楽しい」というのも、大きなメリットだと思っています。
1日5分〜10分の短時間の練習でも、効果を実感できるものと、信じています。
最初のステップはリズムフェイク
ここから、メロディーフェイクの実践です。
メロディーフェイクの練習用の題材は、できるだけシンプルな方が良いので、みなさんよくご存知の「あの歌」を使います。
メロディーフェイクというと、簡単に考えがちですが、ちゃんと手順を踏んでやった方が効果が上がるでしょう。
まずは、リズムのみを崩していく「リズムフェイク」から始めます。
シンプルなところからスタートすれば、行き詰まった時に、戻って来やすいです。
1)リズムフェイクのルール
リズムのみを崩すのが前提なので、メロディー以外の音は使わないようにします。
ただしメロディーで使われている音は、足しても構いません。
今回の場合、C、D、E、Fの4音を追加できます。
音の並びについては、自由に入れ替えて良いものとします。
2)リズムフェイクの実践
それでは、試しにやってみましょう。
や、
など、できるだけ柔軟に考えます。
これだけだと、すぐにネタが尽きてしまいそうですが、休符の位置や長さを意識すると、意外とバリエーションがつくりやすくなります。
素晴らしいフレーズをつくるというよりも、「アイデアをたくさん出して、その中から良いものを拾う」という意識の方が良いでしょう。
3)リズムフェイクの応用
ある程度慣れてきたら、特定のジャンルなどを想定して弾いてみます。
ボサノバ風に、
と、やってみたり、
ロック系のリフをイメージして、
みたいな感じで遊んでみると、面白いでしょう。
上手くできなくても、トライすることが大切です。
リズムの変化だけでなんらかの世界観を表現することは、アドリブを弾くうえで、とても良いトレーニングになります。
制約の中で、伝えるべきことがしっかり伝わるように、もがいてみましょう。
「アドリブの本質とはこういうことなのではないか?」とさえ思ったりします。
アプローチノートを加える
次のステップとして、アプローチノートを加えていきます。
アプローチノートというのは、その名の通り、「目標の音にアプローチする音」です。
これによって、フレーズが一気に彩り豊かなものになります。
1)アプローチノートの種類
アプローチノートには、たくさんの種類があるのですが、とりあえず次の3つを覚えておけば良いでしょう。
Gの音を目標音に設定して解説します。
a.半音下または上からのアプローチ
これを基本に考えます。
b.全音下または上からダブルでアプローチ
ギターの場合、短3度離れたところから、
と、アプローチするのも、使いやすいですね。
c.上下から挟み込むアプローチ
これは、色々なバリエーションがつけやすいです。
2)アプローチノートを使ったメロディーフェイク
アプローチノートを使うと、
や、
といったフレーズがつくれます。
フレージングの自由度が増して、かなりアドリブフレーズらしくなってきたのではないでしょうか?
理屈で考えなくても、感覚主導で弾けてしまいます。
オブリガートを加える
そして、いよいよオブリガートのフレーズを加えていきます。
メロディーフェイクと言うと、いきなりここから始める人が多いと思いますが、これまでの手順を踏まえたほうがネタ切れも起こしにくく、発展させやすくなるでしょう。
オブリガートを加えるうえで大事なことは、「その場で頭に浮かんだ、弾きたいメロディーを弾く」ということです。
トライアドやお気に入りのフレーズなど、自分の持ちネタを入れ込んでも良いでしょう。
練習する時のコツは、「考えながら弾けるぐらい、ゆっくりのテンポで弾くこと」です。
原型がわからなくなってしまいましたが、それでも何となく、元のニュアンスが残っていると思います。
とにかく柔軟に、浮かんだアイデアは、できるだけ否定しないようにします。
正解とか、不正解とかは無いので、自分が気に入ったものができれば、それで十分です。
まとめ
メロディーフェイクの効能や、具体的な方法について解説しました。
- メロディー感覚を養うことができる
- 原曲のニュアンスを活かしたソロが弾ける
- オリジナリティーが出しやすい
- 難しい音楽理論は要らない
というメリットは、なかなか試す価値のあるものだと思います。
しかも楽しい。
- 1.リズムフェイク
- 2.アプローチノートを加える
- 3.オブリガートを加える
の手順で取り組めば、初心者でも楽しく練習できるでしょう。
僕も、毎日やっています。
次回もお楽しみに。