前回のメロディーフェイクに続いて、今回はコード進行に対応する方法を紹介します。
メロディーフェイクはとても素晴らしい手法ですが、元となるメロディーがないと使えません。
コード進行だけ提示されて、そこでアドリブを弾く、というケースもとても多いので、それに対応したアプローチを解説します。
ポイントは、「骨組みをつくって、そこから膨らませる」、ということです。
そうすれば、例のごとく、難しい音楽理論やスケールを使わずに、アドリブを弾くことができます。
ターゲットノートを使う
ターゲットノート、つまり、目標となる音を最初に設定してしまえば、それがアドリブフレーズの骨組みとして機能します。
1)ターゲットノートの設定
曲のテンポにもよるのですが、ターゲットノートは2分音符で設定するのが、丁度良いと思います。
ターゲットノートを音の並び別で分類すると、以下の3種類になります。
a.スケール的な進行
最もシンプルな発想で、ここから始めるのが考えやすいでしょう
b.半音進行
調性から外れた音が含まれるので、その処理にちょっと注意しなければいけないのですが、緊張感のあるフレーズをつくることができます。
c.跳躍を含んだ進行
離れた音を使うことによって、ダイナミックなフレーズになります。
ターゲットノートだけで、メロディーとしてきれいに聴こえるように設定しておくと、ソロが弾きやすくなるでしょう。
特にルールなどは無いので、色々と試してみましょう。
2)ターゲットノートを使ったフレージング
ターゲットノートで骨組みをつくったら、そこからアイデアを膨らませていきます。
具体的な例を挙げていきますので、参考にしてみてください。
a.アプローチノートで膨らませる
ターゲットノートとアプローチノートだけでも、十分フレーズとして成立します。
アプローチノートについては、前回の記事で解説しているので、参考にしてみてください。
b.いろいろなアイデアで膨らませる
アプローチノート以外のアイデアも、もちろん使えます。
スケール的な動きや、音の跳躍など、いろいろと試してみると良いでしょう。
ターゲットノート以外の音は、かなり自由に動けることに注目してください。
少々音を外しても、ターゲットノートに戻って来れば大丈夫です。
c.半音進行の処理
半音進行の調性外音は、
- 経過音として処理
- 7thコードの場合、オルタードテンションとして処理
- 部分的にリハーモナイズ
などで、対応します。
経過音として処理する場合は、例えばクリシェ的なフレーズを使ったり、
フレーズごと平行移動させたりします。
7thコードの場合は、オルタードテンションのフレーズをそのまま使うことが可能です。
バッキングのコードはそのままでも、部分的に違うコードを想定して弾くこともできます。
リハーモナイズについては、こちらの記事を参考にしてください。
この他に、次回採り上げる予定のスケールユニットも、便利に使えます。
アイデアは、できるだけたくさん出して、試してみましょう。「スケールユニット」については、もう少しお待ちください。
トライアドの応用
トライアドは、音型としてのまとまりが強いので、コード感を出すのに適しています。
通常の、
といったストレートな使い方も、もちろんありですが、応用するとさらに世界が広がります。
1)アプローチノートと組み合わせる
トライアドも、アプローチノートと組み合わせると、一気にバリエーションが増えます。
自由に動きつつも、トライアドの構成音がコード感をしっかり出しているので、聴いていて安定感のある演奏になります。
アプローチノートは効果的で、応用範囲も広いので、積極的に使っていきましょう。
2)ターゲットノートとして使う
トライアドの構成音をターゲットノートとして使うのも有効です。
この場合、2分音符といった縛りはなくして、小節内に自由に配置します。
この場合も、ターゲットノート以外の音は自由度が高いので、いろいろな音使いを試してみましょう。
3)トライアドの選択
使用するトライアドは、アッパーストラクチャートライアドの考え方を導入すれば、選択肢を飛躍的に増やすことができます。
例えば、CM7のコードに対して、C△だけでなく、D△やE△、あるいはBm△といったところまで視野を広げることが可能です。
トライアドの選択肢を増やすためには、普段からリハーモナイズのトレーニングをしておくと良いでしょう。
リハーモナイズが理解できると、応用力がグンと上がります。こちらの記事を参考にしてください。
コード進行はJPOPがおすすめ
既存のコード進行を引用して練習に使用する場合、JPOPの曲を使うのがおすすめです。
JPOPの曲は、メロディーを暗示するようなコード進行が多いので、フレーズが浮かびやすいのです。
繰り返して使えそうな部分を、8小節ほど抜き出して、ルーパーなどを使って練習すると良いでしょう。
譜面から抜粋しても良いですし、「コード進行集」も売っていますよね。
「オリジナルとは別パターンのメロディーをつくる」という意識でフレーズを考えると、作曲のトレーニングにもなって一石二鳥です。
まとめ
特定のコード進行に対応するためのアイデアを紹介しました。
おさらいすると、
- ターゲットノートを設定する
- トライアドを応用する
という手法を使ってフレーズの骨組みをつくり、そこからフレーズを膨らませていくと、難しい音楽理論やスケールを使わなくても、アドリブを弾くことができます。
また、JPOPの曲を使って練習するのは、本当におすすめなので、ぜひ試してみてください。
難しく考えずに、とにかくたくさん弾いてみて、そこから何かコツを掴んでいくのが上達の近道だと信じています。
次回もお楽しみに。